無菌性髄膜炎という病気
髄膜炎 尿閉症候群 (Elsberg症候群)
長らくブログをお休みしておりましたが、じつは無菌性髄膜炎を患い、約2ヶ月弱の間入院しておりました。
現在は退院し仕事にも復帰しているのですが、入院中に調べていて色んな情報に助けられました。
髄膜炎についてはネット上に情報が出ていますが、自分のように尿閉(おしっこが出なくなる症状)を伴ったものは、思ったほどインターネットに情報がなく、少しでも参考になればと思い投稿させていただきました。
コトのはじまり
2015年5月、ちょうどGWの連休明けに、風邪のような症状で熱が38度ほど出ました。
その週末はクライミングに行く予定でしたが、熱発のせいでキャンセルし、家でおとなしくしていました。
じつは自分、以前風邪をこじらせて副鼻腔炎になり、耳鼻科通いを怠っていたせいでスッキリと治っておらず、鼻の調子が悪くなることもしばしば。
この時も副鼻腔炎が悪化して、熱が出ているのだろうと思い、まずは耳鼻科へ。そこで検査して抗生物質(ジェニナック錠)を処方してもらい、それを服用して安静にしておりました。
ところが、まったく熱はさがる傾向がなく逆に上がってくる様子。もう一度耳鼻科を受診し、抗生物質を変えてもらい、それをまた飲んでいましたが、やはり熱は下がらず…。
耳鼻科医に内科受診を促されたため、近所の内科へ。インフルエンザの可能性があるとのことでインフルエンザの検査をしましたが陰性で、高熱の原因がわからない…とのことで、その日は点滴を打ってもらい、総合病院への紹介状を書いていただきました。このときはすでに40度以上の高熱が続いていました。
翌日の5月14日、熱は42度。歩くのもツライ状況でタクシーで市内の総合病院へ。
再度、熱を測り検査をします。
「外国へ行かれましたか?」など色んな質問を受けました。(が、ほとんどこの頃の記憶がありません…汗)
そして、尿検査のカップを渡されたのですが、なんとおしっこが出ない…。
つらい尿閉
すぐにカルテに「尿閉」「高熱」と記入され入院することに。そして尿が出ないのでバルーンカテーテルを装着。入院など初めてだったので、それはもう恥ずかしい思いをしました。
そして念のため髄液検査もしましょう、とのことで背中に太い注射針を刺され、髄液なるものを採取。
そして、検査の結果、後日病名が髄膜炎と判明。
髄膜炎といっても、いくつか種類があり、細菌性髄膜炎や結核性髄膜炎は後遺症が残ったりする重篤な病気らしく、この病院では正確な検査ができない、とのことで他の大きな病院を紹介してもらい、すぐにそこへ転院することになりました。
これが5月16日のこと、救急車で別の病院へ搬送。
次の病院でまたあの痛すぎる髄液検査(あとでルンバールという名前だと知る)をされ、細胞数や蛋白、糖の数値などを調べられました。
幸いこの病院は、検査機器が充実しており、検査結果がその日のうちにわかり、「おそらく無菌性髄膜炎だろう」という診断でした。ウイルスの培養には時間がかかるらしく、また自分は発熱当初にかなりきつめの抗生物質を飲んでいたせいで、ウィルスの判別は難しいとのこと。
そうなると抗ウィルス薬などは使えず、「髄膜炎は症状に応じた対症療法しかない」とのことでした。
そして依然として尿閉状態でカテーテルを付け、腕には点滴、身体中に管がくっついた状態でした。
髄膜炎という病気は、脳の覆っている髄膜の中に何らかの原因でウイルスが入り込み、高熱が出る病気で、脳や脊髄神経などにも炎症が及ぶと脳炎や脊髄炎なども引き起こす怖い病気だそうです。
自分の場合は、まさそれで脳にも多少炎症が広がったせいか、手の震えが治まらず字は書けない、お箸やスプーンは持ちにくいなどの症状が出ました。
また尿閉のほうも脊髄の中に「仙髄」という神経があり、それが排尿をコントロールしているようで、その部分が障害されることによって排尿障害や下肢の不全麻痺が起こっていました。
自分はこの「排尿障害」が一番しんどくて、バルーンをはずした後も留置型カテーテル、その後は毎回トイレのたびに看護師さんにベッドの上で導尿をしてもらっておりました。
入院中に泌尿器科にもかかり、薬(排尿障害の改善薬で、ベサコリン、エブランチル、その後ユリーフに変更)を飲んでいたましたが改善なしで、トイレに行くたびに落ち込んでました。
熱のほうは2週間ほどで落ち着いてきて、微熱が続いてはいたのですが髄膜炎自体は軽快しつつあり、主治医からも、このまま尿閉が続くと自己導尿を習得して退院と言われておりました。
その頃は、本当につらい毎日で「自分はまだ腎臓が元気やしつらい透析よりはずっといい」とか、「事故で脊髄損傷している人たちはもっと苦しんでるんや…」と自分に言い聞かせてました。
ようやく・・・自排尿
そしてようやく自排尿があったのは6月17日。入院してから35日後でした。皮肉なことに自己導尿を看護師さんに教わりながらやってみて、その日は痛くて挫折した日でした。
その後、間が悪いことに導尿やカテーテル留置が原因で尿路感染症を起こし、腎盂腎炎も疑われ2週間の点滴生活で入院が伸びました。
その間も出にくいながらもなんとか排尿でき、7月4日に退院。約50日間の入院生活でした。
あとは退院後に神経内科の検査を受けて問題なしとのことで、今のところ後遺症もなく順調です。
髄膜炎の後遺症?というか、首を前に曲げると少し背中のあたりがしびれる感じも入院中からありましたが、退院して1ヶ月ほどでだいぶマシになりました。
どうやら3ヶ月ぐらいすると自然に消える方が多いようなので、自分もあまり心配しすぎないようにしています。
それよりも体力の低下が著しい…、下肢が麻痺していたせいで脚の筋肉がガタ落ち、手が震える症状が出ていたため、握力がすごく弱くなってしまいました。
クライミングには必要な筋力なので、まだ当分リハビリが必要な感じです。
髄膜炎はベッド安静が必要で、入院中は暇を持て余しました。
スマホがあるので、何でも調べられる反面、調べすぎて不安になることもありました。
ただやっぱりつらい尿閉(エルスバーグ症候群)も神経根が治癒されてくると改善されます。
尿閉で苦しんでいる方が、たくさんおられるんだということが入院中にわかりました。
Elsberg症候群は稀な病気のようですが、同じように尿の問題で悩んでおられる方の情報源になればと思います。
それから、入院中にお世話になった看護師さん、先生、本当にありがとうございました。
とくに看護師さんは24時間、お世話をしていただき本当に助かりました。
自分は入院がはじめてで、これまで病院ギライだったのですが考えを改めました。
自分のカラダについても考え直すいいきっかけになったと思っています。
あとは原因になった可能性のある、副鼻腔炎もしっかり治さないと。
追記
2020年、コロナウィルス感染症が世界的に流行し、日本だけでなく世界で感染者が急増し、大変な事態となっています。
インフルエンザによる髄膜炎も重篤な症状になるケースが多いと聞いていますが、コロナウィルスを起因とした髄膜炎の患者も国内で確認されたと報道されています。
コロナウィルス自体も大変恐ろしいウィルスですが、自分は既往歴があるので髄膜炎にも注意が必要だとあらためて感じました。
2020年4月24日
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奥ゆかしいセンパイですが、嗅ぎつけたからには遡って拝見しております。こんな大変なことがあったんですね。
だから?攀るときのセンパイは本当に楽しそう‼︎あの流れるようなムーヴ、本当に憧れます。
人生にムダな出来事は1つもない、と信じています。大変だったからこそさらに強くなって帰って来られたんですね‼︎お手本これからもいーーっぱい見せてくださいね♪
コメント、ありがとうございます。今日はお疲れさまでした。
病気、あれから1年になります。いろいろと大変な入院生活でしたが、おかげさまですっかり元気になっております。病気になって、今まで普通にできていたことが出来ないようになって、そんな当たり前のことを今では大事にしようと思えるようになりました。
クライミング、自分はまだまだですし、ムーブもそんなに褒めてもらえるほどではありませんが、おっしゃる通り楽しみながらやってます。お手本にはならんと思いますが、これからも一緒に
どんどん登りましょう!
またいつでもビレイやりますので、今後ともよろしくです。
それにしても、あのガッツは素晴らしい。
持久力もついてきたんとちゃいます?
こんばんは、急に申し訳ありません。
無菌性髄膜炎と尿閉の症状で検索した際にこちらのブログが最初に出てきたので読ませていただきました。
私の父が4日前に無菌性髄膜炎と診断され緊急入院いたしました。尿閉にもなっております。父は50代後半です。
4日目ですが39度前後の熱が治まらなくて、意識も朦朧としており、食事もほとんどできてないです。
主様は薬の効き始めなどはどのくらいでしたでしょうか、書かれてる通り2週間ほどでしょうか?
意識的にハッキリしてきた日数や
入院中にされてたらよかったことなど、良くなかったことざっくりな質問ですがよかったら教えて頂きたいです。
父もアウトドアな人ですので元気な姿が早く見たいです。
いきなりコメントして大変失礼は承知ですが情報や経験者のお言葉をお聞きしたく書き込ませてもらいました。よろしくお願いします。
お父様、無菌性髄膜炎とのこと、心配ですね。
自分のコメントが参考になるかどうかわかりませんが、
自分の場合、原因ウィルスの特定ができませんでしたので、点滴と解熱剤(ロキソニン)をしばらく服用しておりました。
幸い、食欲はあって食事はとっていたように思います。徐々に熱が下がり始め、2週間ほどで落ち着いたように記憶しております。
その後、微熱が続き、すっきりしなかったのですが…。
自分は髄膜炎よりも尿閉のほうがつらく、精神的にも追い詰められていたように思います。
このまま尿閉が続いたらどうしよう…とか、自己導尿ができるようになるか…などです。
入院は約2ヶ月と長くなりましたが、不全麻痺などもあってリハビリを入院中は毎日やっておりました。最初にうちはまっすぐ歩くこともできず呆然としましたが、
訓練を続けるうちに、次第とできるようになりました。
無菌性髄膜炎なら、対症療法ですので安静にしておくしかありません。尿閉も自己排尿があるまで個人差はあるかと思いますが、仙髄神経根が治癒されてくると改善されるはずです。
つらいとは思いますが、精神的な部分も大きいようなので、良くなると信じて必要以上にあせらないことも大事だと思います。
お父様の一日も早い回復をお祈りいたします。
すみません、今更見られないかもですが、自分も今髄膜炎になり現在尿閉状態で全くおしっこが出なくて今後自分で出せるのかとても不安な状態です、ですがこのブログを読ませていただいてちょっと勇気が出ました!
尿閉、お辛いこととお察しします。出なくなるだけでこんなに苦しむなんて普段の生活からは考えられないですよね。
自分は一ヶ月以上、尿閉状態が続きましたが、そのうち出るようになると思います。自排尿が始まってからも、出にくい状態が続いていたのですが、病院内を散歩するなど、運動をしていた方が出やすかったような気がします。
導尿とか恥ずかしいし、自分でするのは痛かったり、悩まれることとは思いますが、きっと良くなりますよ。
一日も早いご回復をお祈りしております。
返信ありがとうございました!退院して尿が出るようになりました!ですがめまいと若干の難聴に悩まされてて自宅療養中です!
回復されてなによりです、良かったですね!自分も背中の軽いしびれやめまい(立ちくらみ)はしばらく続きましたが、そのうち無くなりました。自宅療養からの一日も早い復帰をお祈りしています。
突然のコメント、失礼します。
無菌性髄膜炎、閉尿で探していたらこちらに行き着いた者です。
このコメントに気付いて頂けると良いのですが…。
実は高校生の息子が、無菌性髄膜炎の可能性があると診断されました。
発熱は既に1ヶ月近くあります。コロナの影響でクリニックからの診察からなかなか先に進めず、時間がかかってしまいました。
閉尿の症状もあります。
記事の内容とコメントを拝見した限りでは、息子も全くその通りなのですが、とにかく熱が下がらず、不安な日々を過ごしています。
日常生活に復帰されるまでにどのくらいかかりましたでしょうか?また、微熱が残ってすっきりしなかったとありましたが、微熱がなくなるまでどのくらい時間を要したのかを教えて頂きたいです。
記事を拝見して経験者の方が今では元気に生活されている事を知って、とても励みになりました。
息子さん、熱が下がらないとの事、尿閉もあって心配ですね。
髄膜炎の初期症状は風邪やインフルエンザに似ていて、一般の内科では髄膜炎と診断されるまで時間がかかったり、抗生剤を処方されたりしてウイルスの特定が出来なくなったりしてしまう事も多いようです。
息子さんの場合はコロナの事もあって時間がかかってしまったのですね。
自分の場合は高熱が2週間ほど、その後少し下がって38度前後の熱が続き、さらに微熱も含めると一ヶ月以上発熱が続いていたように思います。
最初は42度くらいの熱がありましたので、少しずつ熱が下がっているようなら、その内に収まってくるかと思います。
それよりも辛かったのは、尿閉の方です。
バルーンを外した後は、看護師さんに都度導尿してもらうことになり、恥ずかしいのと痛いのとで本当に大変でしたし、40日以上も自排尿が無かったので、かなり悩みました。
でも、神経根の炎症が収まってくると出るようになりますので焦らず安静にすることが大事だと思います。
日常生活に復帰するまでは3ヶ月弱かかりましたが、これは尿閉のせいです。髄膜炎自体は一ヶ月半程でほぼ落ち着いていたように思います。2ヶ月の入院後、自宅療養で2週間ほどで仕事に復帰したと記憶しています。
息子さんはまだお若いですし、きっと大丈夫ですよ。
一日も早い回復もお祈りしております。
早速のご返信ありがとうございます!
やはり熱が下がるまでは時間がかかるのですね…。息子の熱は最初の高熱から1ヶ月近くかかってようやく微熱〜37度後半になってきたものの、そこからがなかなか下がらず不安の中にいましたが、いずれ下がるとお聞きして、安心しました。
尿の方は、熱が出始めの頃は出ていたのですが、次第に出なくなりました。現在は完全に閉尿状態です。自宅療養ということもあり、数日前から自己導尿をしています。出せない苦しみも経験しているので、出さないよりマシと、嫌がらずに導尿していますが、いつまで続くのか不安でした。
いずれは自己排できるようになるとお聞きして、とても安心致しました。
息子本人にもこの記事とコメントの内容を伝えたところ、必ず治ると思えるようになったと申しておりました。
出口が見えない不安の中で1ヶ月近く過ごしておりましたが、この記事に出会えて、返信を頂いた事で明るい光が見えたような気がします。
本当にありがとうございます。
早速のご返信ありがとうございます!
やはり熱はなかなか下がらないのですね…。現在は微熱~37.6度の間を行ったり来たりしている状態なのですが、そこからなかなか下がらず不安の中におりましたが、いずれは下がると思うことができました。
閉尿については、閉尿の症状をきちんと診断してもらうことがかなわず、尿が溜まりすぎて救急外来に運ばれたりと大変な事もありました。また、コロナの影響で入院する時期を逸してしまい、自宅療養の日々なので数日前から自己導尿をしています。とても大変そうで胸が締め付けられる思いでおりました。
しかし、いずれ自排尿ができるようになると信じて焦らず安静を努めます。
日常生活に復帰できるようになるまではもう少し時間がかかりそうですが、
この記事とコメントの返信を頂いたことで、先の見えない不安な日々もいずれ終わりがくると思えるようになりました。
本当にありがとうございます。