黒部のイワナと下ノ廊下2019 その1

黒部のイワナと下ノ廊下2019 その1

黒部峡谷の下ノ廊下へ

下ノ廊下の開通期間は一年のうちほんの1か月前後。本当は紅葉のシーズンが一番なんですが、その頃は阿曽原のテン場や阿曽原温泉は大混雑必至…。

自分は人が多いのが苦手なので、紅葉は諦めて少し前に歩いてきました。

危険個所が連続するこのルートは上級者向きといわれていますが、事前にしっかりと情報収集したうえで臨んだほうが良さそうです。

下ノ廊下って?

「下ノ廊下(しものろうか)」とは、北アルプスにある黒部川の黒部湖よりも下流にあたるエリアのことで、一般的には黒部ダムから仙人谷ダムまで南北にのびる黒部川沿いのルートになります。このルートは黒部峡谷の中心部に位置し、非常に狭い崖沿いの道を長時間かけて歩くことから、「黒部に怪我なし」と言われるとおり、崖から滑落すれば怪我では済まないというルートです。
ちなみに、黒部湖から上流は「上ノ廊下」、さらに薬師沢小屋から黒部川の最上流までを「奥ノ廊下」と呼びますが、どちらも沢のルートになります。

いつから歩けるのか

峡谷にあるため雪解けが遅く、7、8月の間は通行自体ができません。例年9月中旬から10月にかけて道の整備が行われ開通しますが、残雪の量によっては開通しない年もあります。開通状況は道中にある阿曽原温泉小屋のブログや富山県警察の山岳情報を参考になります。
阿曽原温泉のホームページ(ブログ)はとてもユニークで勉強になるのでチェック必須です。

黒部をゆっくり楽しむ

紅葉前の下ノ廊下を決めた時、せっかくなので禁漁前のイワナを黒部で釣ってみたいと思い、パックロッドとルアーをザックにしのばせて、ロッジくろよんに前泊です。

行程は京都から夜行バスで長野駅まで。さわやか信州号もあったのですが、4列シートよりやはり3列シートのほうが快適です。到着が遅くなりますが料金はほぼ変わらないので、バスでゆったりと寝られるほうを選択。長野から扇沢行きの高速バスに乗って9時頃に扇沢に到着。平日の9時なので空いているかなと思いきや、外国人の方たちも含めて電気バス(トロリーバスから変わった)はほぼ満席。ただ、待ち時間なく乗ることが出来たので9時半ごろには黒部ダムに到着です。

 

せっかくなので、観光放水を行っているダムを展望台から眺め、観光気分を満喫。天気もよくダムと虹を見ることが出来ました。

そして、明日は早立ちの予定なのでレストハウス前から登山口までのルートを下見。(これはやっておいて正解でした)

下見が済んでしばらくしてから、ダムの堰堤から本日のキャンプ地「ロッジくろよん」に向かいます。とは言っても歩いて20分ほど。途中にある「かんぱ谷橋」を渡って、少し進むと本日のテン場へ。

 

当然ながら平日の午前中にテン場には誰もいません。場所は選び放題。キレイに整地されたテント場にテントを張ります。一泊800円でした。

 

そこで昼寝したり本を読んだり、ビールを飲んだり。

たまに登山者の方が横を通り過ぎるぐらいで、本当に一人でゆっくりできました。

 

黒部イワナとご対面

少し陽が下がって来たので、本日のメインであるイワナ釣りに黒部湖に流れ込む沢に向かいました。

テン場から10分ぐらいのところに沢があり、そこで少し竿を出してみることに。

黒部湖に流れ込む沢を少しずつ遡上しながらミノーを投げてみたところ、イワナがヒット。

ルアーをピックアップしようとしたところに突然飛び出してきたのでビックリしましたが、なんとかバラさずに釣り上げることができ、しかも結構な大物で尺イワナです(30cm以上)

まさか釣れるとは思っていなかったので刺身にしようとか一瞬思いましたが、リリースしておきました。

引きが良かったのでこれで大満足!あと小さめのイワナをもう一匹追加して、1時間半ほどで納竿。自分みたいな久しぶりの釣り師でも釣れるんやから、さすが黒部!

 

その日はビールを飲んで、そのまま就寝。明日はいよいよ下ノ廊下です。

黒部ダム~阿曽原温泉

9月28日、5時30分すぎにロッジくろよんのテン場を出発して阿曽原温泉に向かいます。

早朝は黒部ダム駅が閉まっているので、扇沢行きの電気バス通路の遮断機横を通過して進みます。
バス専用道路に出る、もう一つの遮断機手前を左斜めに入り道路を道なりに進むと、この案内板があります。

駅が閉まっていると遮断機を超えて歩かないといけないのですが、前日に下見をしておいて正解でした。

 

ここを右に進んで黒部川のほうに降りていきます。案内があるので迷うことはないと思います。

 

6:25 この橋を渡って、いよいよ下ノ廊下に入ります。

 

ちょうどサイレンが鳴って、6時30分の観光放水が始まりました。

 

この日は天気予報があまり良くなく雨予報でしたが、前日の夜に降った雨があがり曇り空ながら雨に降られることなく歩くことができました。

最初のうちはあまる高度感もなく、整備されて道を歩きます。危険なところはありません。

 

8:20 黒部別山沢

黒部別山沢(黒部別山谷)あたりは手すり番線が途切れている場所がいくつかありましたが、慎重に歩けば問題ない感じです。

 

手前に傘が置いてあったので、なんだろうと思ったのですが少し進んで納得。整備に入っている方がここを通過する時にさすんですね。まあ、ここは濡れます(笑)

9:10 十字峡

しばらく進むと、ほぼ中間地点の十字峡に。劔沢と黒部川の合流地点になります。水が青くキレイでした。紅葉するとコントラストが美しいのでしょうね。

ちなみにこのポイントは撮影ポイントのようですが、登山ルートから少し外れて降りていかないといけないので、そのまま通り過ぎてしまう人もいるようなのですが、絶景なのでオススメです。

 

十字峡の吊り橋を渡って先に進み、橋の上から劔沢を見たのですが水量がすごい。

 

さほど高くはないのですが、水の迫力のせいかスマホを落としそうで怖かった。

 

9:55 作廊谷合流点

 

この辺りは高度感がけっこうあります。

 

10:05 S字峡

その名の通り、S字型に流れています。

 

ここから仙人谷ダムまではあと2.3km。

 

関西電力の送電線が見えてきました。こんな山奥に大規模な施設があるのは、なんとなく不思議な感じがします。

 

道も完全に岩をくり抜いて作っています。相当な労力がかかってそうです。おかげさまで歩きやすい道です。

 

仙人谷ダムの手前にかかる吊り橋。かなりの長さと高度があります。通行は一人ずつなんでしょうが、混んでいたら通過に時間がかかりそうですね。

 

橋を渡ると林道になり、少し進むと長いトンネルが。最後のほうは光があまり入らないのでかなり暗く、ヘッデンを点けました。

 

10:45 仙人谷ダムに到着

 

仙人谷ダムの堰堤にこの階段から上がります。看板があるのでわかりやすい。

 

堰堤を進んで阿曽原温泉方面に進むには、この階段を下ります。

 

他の方のブログなどでもよく拝見する、この扉を開けて中に入ります。

 

中にも丁寧な案内が掲示してありますので、指示通りの方向へ

 

こんな感じの通路を進みます。

 

列車が走っています。ツアーの場合はここまで電車で来られるようです。電車が入線するとアナウンスがあったのでしばらく待っていましたが、現れなかったのでそのまま進みます。

 

硫黄の香りが立ち込め、温度が高くなるこの場所が「高熱隧道」。カメラがピンボケですが熱のせい?

 

そこからダムの施設内を抜ける門をくぐって、宿舎の隣を進みます。

 

立派な宿舎を過ぎると、阿曽原温泉まではもうすぐなんですが、最後の登りがキツかった。というより、ここまで登りがほぼなく、平坦路とゆるい下りをずっと歩いてきたもんだから20分程度の登りですっかり汗だくに…。

登った分を同じくらいを下ると阿曽原温泉です。標高は860mぐらい。

11:25 阿曽原温泉に到着。

黒部ダム下からちょうど5時間かかったことになります。

 

本日のテン場。一番乗りだったようで、張る場所は好きに選べそうです。テント場のキャパは30張りとなっていますが、ピーク時は100張り以上になることもあるそうです。

テント800円 露天風呂700円 350ml缶ビール 600円 500mlロング缶 800円

 

テントを張って、早速露天風呂へ。

雨が降り出しそうな雰囲気もありますが、自分以外はまだだれも小屋に着いていなかったので、14時までは男風呂にしてくださいました。貸切の露天風呂でビールを飲みながらのんびり。ロケーションもお湯も最高でした。

 

お風呂はすのこを敷いただけですが、いい感じです。

 

ゆっくりお風呂に浸かったあとは、テントでまたのんびりと。15時ぐらいから雨が降り出し、何人かテント泊をされる方も見えましたが、それでも10張り無いぐらいで、やはり天候のせいなのか小屋もキャンセルが多かったようです。おかげで静かに過ごせました。というか飲んでばっかり(汗)

下ノ廊下後半へつづく