久々のアルパイン 北岳バットレス第4尾根
久しぶりのアルパインクライミング
毎年、秋の合宿は仕事が重なり参加できないのですが、今年の敬老の日を含めた秋合宿は荒天のため中止に。
代わりに計画された北岳山行に便乗させてもらい、久々のアルパインに行ってきました。ブログ投稿も久しぶりです(汗)
秀さんからの「北岳行きますか?」とお誘いいただいた北岳バットレス4尾根ルート。
登攀当日となる2日目は、雲ひとつない快晴。取付きから見上げるバットレスは、朝日を浴びモルゲンロートにつつまれた山容はやっぱり日本を代表するクラシックルートという感じでした。
今回のメンバー
秀さん(CL)、Nさん、Oさん、キタさん、Uさんと6人
10/7
乗り合いタクシーで芦安から広河原まで移動して、9:30に広河原を出発。
まずは白根御池小屋のテン場まで約2時間半ほど。今回も初日の短時間の歩荷ということでビールやらなんやらを詰め込みすぎてザックが重い。登攀装備なども含めて80Lのザックがパンパン状態。それほどキツくもない登山道なのにやや疲れながらの歩き。
また雨も小雨ながら降っていて、「早く小屋に着かんかな〜」などと考えながら大樺沢添いに歩を進めていた。
少しずつ高度を上げて行くと、黄色く紅葉した木々が小雨の中、生き生きとしていてとても綺麗だった。
バイオトイレの手前、あと少しでテン場に着こうかという場所で休憩をとりつつ、少し遅れて歩いていたNさんを待つ。
ところが、待てども待てども登って来る気配がない。心配になってOさんと来た道を戻りながら探し、すれ違う登山者に尋ねても、それらしき人に見覚えのある人はないとのこと。
その後もかなり探したが見つからず、休憩していた地点から少し降ったところに分岐があったので(どうやら冬道のよう)、ここを登っていった可能性が高いということで、取り急ぎNさんがいることを願いつつ小屋まで向かう。
13:30 白根御池小屋着
ここで小屋前のテーブルで、ビール飲みながら笑顔でくつろぐNさんを発見し、一同胸を撫で下ろす。
もし見つからなかったら登攀どころではなく、捜索願いを出さねばならないところでした。
ホッとしたところでテントを張って夕食の準備班と、偵察班に分かれてそれぞれ行動開始。
バットレスは取り付きまでのアプローチが難しく、まずは第5尾根の基部まで行くのにも迷う人が多いよう。前日に偵察に行ってくれたチームの情報を今後のためにブログに残しておきます。
テン場を出て大樺沢を八本歯のコルに向かって約1時間ほど歩くと、D沢の出合に着く。ここから右手に入ると岩の上に青と白のテープがあり、その先はケルンを目印にC沢とD沢の中間尾根を登って行けば、下部岸壁に出る。 分かりづらいD沢は「水流のある沢を2つ渡った次の涸れ沢」であることと、「出合の大きな岩」が目印。 ケルンが積まれたところでD沢の対岸に渡り、そこから中間尾根の踏み跡を辿って登り続けると、岩場前の広い草原に出る。ここがバットレスの下部岸壁
3:30 起床
4:08 白根小池小屋発
6:00 第5尾根末端取付
出発が遅かったのか第5尾根には、すでに先行パーティが登っていて、取付きにも3組ほどが待機していた。
7:25 第5尾根トップパーティが登攀開始。自分は3組目なのでまだ当分待ち時間。さすがバットレス、さすが3連休。
2ピッチ目 ハイマツのあるリッジを登り、立ち木でピッチを切る。
3ピッチ目 クライミングシューズに履き替えてDガリーを登り、横断バンドに出たところでピッチを切る。
4ピッチ目 ロープを仕舞い、横断バンドを右方向に進み、支点のある一段上にあるテラスへ。
本来はバンドをもう少し右方向に進み、ノーマルアプローチのCガリーに出るのが正解だが、今日は先行パーティも多いため、リーダーの判断により、ガレ沢で落石の多いCガリーを避けて別ルートを取ることに。
5ピッチ目 遠い1ピン目を目指してレイバック気味に登った後、上部はクラックのあるフェースをジャミングも使って登る。
カム0.75と1番を使う。終了点手前にトーテムカムの残置あり。このピッチが今回の登攀の中で一番難しく感じた。というより1ピン目が遠すぎてグランドフォールの恐怖との戦いってだけですが…。
6ピッチ目 あまり印象に残っていないが難しくなかった。
7ピッチ目 浸み出したっぷりのルンゼからスタート。その先の藪地帯を抜ければCガリーから続く道に出るので、左に進むと第4尾根の取付きテラスへ。
12:30頃 第4尾根取付きテラス着
やっと4尾根の取り付きに到着。
1ピッチ目 短いクラックでカムは不要だった。上部はやさしいスラブ。2ピッチ目以降はとにかく渋滞が酷く、細かくピッチを切りながらの待機が多くなる。少し広くなったテラスの次のピッチにある、岩が真っ白の短いフェイスは面白かった。
そして後ろを振り返れば、雲海上に富士山のてっぺんが浮かび上がった絶景が広がる。渋滞の長い待ち時間も紛れるぐらいの眺めだった。
15:02 マッチ箱上部
枯れ木テラスと城塞ハングに停滞する人の多さにヘッデン登攀を覚悟し、その後その通りに…。4尾根だけでなく、Dガリー奥壁ルートからの合流もあり、人が溢れていた。
城塞ハングに手こずる先行パーティにはアブミやユマールを使ってゴボウで登っても時間かかっている人も。
マッチ箱の懸垂から枯れ木テラスにつくまで2時間以上を要し、カラダも冷えてくる。
18:05 ようやく枯れ木テラスへ。もうあたりは真っ暗なので、ヘッデンを点けて2010年の崩落地点をハンドトラバースして城塞ハングの基部に渡る。
城塞ハングは、時間の関係で先行パーティーの秀さんが残り全員をビレイすることに。 残してもらったロープを使ってセカンドで登る。真っ暗闇の中、チムニーをヘッデンの灯りを頼りに登る。できれば明るいうちにリードで登りたかったが、仕方なし…。
18:42 全員登攀終了
リーダーの機転で全員がスムーズに登り切り、無事に登攀を終える。普通も登ってたらもっと時間がかかっていたはず。
装備を片付けて、ここから歩いて20分ほどの北岳山頂へと向かう。
19:20 北岳山頂
ここから肩の小屋までの月夜の稜線歩きは心地よく、風も穏やかで寒くもなかったので、とても快適。ただ自分のヘッデンは電池が少なくなっており、月明かりに助けられた。予備電池は豊富に持ってきたほうがよかった。
19:58 肩の小屋
ここで少し休憩して、テン場へ向かう。あともう少し。
21:45 白根御池小屋
もう小屋もテン場も消灯して真っ暗。今日はなんと18時間行動。その後Oさんのオニオンスープとパスタをいただき、虎の子のビールを飲んで、即爆睡(笑)
10/8
7:27 白根御池小屋発
予定よりも少し早くテン場を発ち、朝の爽やかな森の中をゆっくりと下山。
9:27 広河原着 帰りも乗り合いタクシーで、芦安まで。
温泉に浸かり、前回行った「南ぷす食堂」さんへリピート。定食がお安くボリュームも多く、下山後の栄養補給にピッタリ。
今回はいろんな経験ができて勉強になる山行でした。バットレスのクライミング自体はそれほど難度が高いわけではないが、取り付きまでのルートの取り方や、携行する装備など、渋滞によって時間がかかることを考慮した準備が必要だと思いました。
北岳に登ったのは初めてだったのですが、それがバットレスということも記憶に残ってよかったです。
同行してくださったメンバーのみなさん、ありがとうございました。
【行動記録】
10/6
前夜初にて大阪を出発
10/7
3:55 芦安駐車場・仮眠
8:42 芦安 (乗り合いタクシー/片道1人 ¥1,200)
9:14 広河原インフォメーションセンター
13:30 白根小池小屋 幕営
10/8
3:30 起床
4:08 白根小池小屋発
6:00 第5尾根基部
7:30 1パーティー目登攀開始
12:30 第4尾根取り付き
15:02 マッチ箱上部
18:05 枯れ木テラス
18:42 登攀終了
19:20 北岳山頂
21:45 白根小池小屋
10/9
7:27 白根小池小屋発
9:27 広河原
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