大台ケ原 千石嵓 サンダーボルト
フリー&アルパイン? サンダーボルト 5.10c
千石嵓サンダーボルトは、2001~2003年の3年をかけて開拓されたフリーのマルチピッチルートです。
全長300m、10ピッチでフェース、スラブ、クラック、トラバース、ハング、木、草付き、藪こぎと変化に富んだクライミングが待ち受けています。
サンダーボルトは半分アルパインクライミングような内容で、隣りのサマコレに比べても登る人が少ないせいか、コケが多くて岩も脆く、グレードも難しいらしい。ピッチ数も多いし…(全10ピッチ)
自分はまだサマコレにも登ってませんが、先週の雪彦山の上昇気流に引き続き、師匠と一緒に当たって砕けろ!でサンダーボルトに挑戦してきました~。
朝にビジターセンターで講習を受けてからの出発です。この時期の土日は7:30から講習を始めてくれます。
サンダーボルト、自分なりの解説(すべてフォローです)
1ピッチ目 5.10- 40m
1ピッチ目、最初は40mと長い5.10-のゆるいフェイスのルート。最初なので緊張しながらのクライミング。ただ天候は良く先週の雪彦山に比べたら、苔はあってもフリクションはバッチリ。歯ごたえを感じながらもノーテンでクリア。40mとやや長いですが10bにしてはやさしく感じました。
サンダーボルトの取付
2ピッチ目 5.10- 45m
2ピッチ目は同じグレードで、長さも45mのフェースに草付き混じりのピッチ。ところがトップの師匠がまさかのフォール。右手で取ったホールドが大きく欠け、左で草付きを取ったらそっちも剥がれるという不運な形での落下。
おまけにフォールした時の着地で右足を痛めてしまう。自分のビレイの仕方が拙かったか…?そんなに落としてはいないとは思うのだが、まさか2ピッチ目で落ちるとは師匠も自分も思っていなかったので、かなり驚いた。
足は痛いが、なんとかクライミングは続けられそうとのことで、そのままクライミング続行。
自分はその草付きの部分を特に慎重に超え、なんとかフリーで切り抜ける。
3ピッチ目 5.9 35m
3ピッチ目は左方向へのトラバース。脆い岩と灌木を掴み、草に隠れたフットホールドを探しながらのトラバース。
セカンドでもフォールしたら激しく振られるのでえらく怖いピッチで、そんなに強く引き付けた訳でもないのに大きなガバが剥がれ、あやうくアタマの上に落ちてきそうでした。
「ラクッ~」と叫びながら大岩が谷に落ちていくのを眺め、ランニングを取っている支点にもあまり負担をかけたらマズイかも…と思いながらなんとか終了点まで。
難しいムーブなどはありませんが、精神的にキツいピッチでした。ガバホールドが軒並みなくなっていて、ちょっとグレード上がってるのでは?という感じでした。
4ピッチ目 5.10 15m
いよいよ4ピッチ目は最初の核心の15mの5.10。セカンドで取り付きましたが、見た目かなり悪そう。
しかし、このピッチは短く、良いホールドが見つかって自分的にはすんなり上がれました。傾斜がきつかったので少し力が要りましたが、終了点の場所はテラスになっているので、ここでしばし休憩。
5ピッチ目 5.10 15m
師匠は、4ピッチ目と5ピッチ目を繋いで登ったので、このまま登攀です。
最大の苦手ポイントであるハング越え。最初は右にトラバースしてフェイスに取り付き、いよいよハングに差し掛かったところで、左手で保持するホールドが見つからず、探しているうちに力尽きてしまいあえなくテンション。ロープも掴んで、ヌンチャクも掴んで何でもアリのA0でなんとか突破。
5ピッチ目の核心部分で悪戦苦闘中。師匠撮影の写真借りてます。
時間はそれほどかかってなかったと思うのですが、かなり疲れました。ここでようやく全10ピッチの半分です…。
6ピッチ目 5.9 25m
ここはスラブっぽい草付きを登る。傾斜もゆるくなって、5ピッチ目から比べるとやさしく感じる。ここは無難にノーテンで。
7ピッチ目 5.10- 25m
このピッチはクラックに腕を入れたりして登る。ジャミングというものを外岩ではじめてやってみた。
腕をクラックの中に突っ込んで手の平と肘で保持しながら壁を攀じ登っていく。このピッチも6ピッチと7ピッチを繋げたので50mのピッチとなり、少々疲れたがなんとかノーテンで切り抜ける。
7ピッチ目終了点のビレイ地点からサマーコレクションの休憩所の林が見える。サマコレ組の秀さんが手を振ってくれていたので、手を振り返す余裕はなんとかあって良かった…。
ここからシオカラ谷方面。高度感もあり眺望も最高です。
8ピッチ目 5.10 35m
このピッチは下から見ても難しそうな凹角。右側の壁はツルツルで手で保持できそうなホールドは無さそう。
ステミングと木登りで高度を稼ぐ。ここは師匠にも上から声を掛けられた通り、ムーブがグラビティなんばの凹角の11aのルートに似ている。アレをRPしておいて良かった。クラックが終わって右のレッジへ移るところが難しかったがなんとか切り抜ける。このピッチは木に邪魔されながらのクライミングでしんどかった・・・、ギアの回収も大変だったがトップはこのクリップしづらいチェーン型の支点に掛けながら登るのは難しいし、フォールしたら右に振られるので精神的にもきつかったはず…。
師匠撮影、ステミングで必死のパッチで登る。
右足を痛めていた師匠、MOSお疲れ様でした。
9ピッチ目 5.9 35m
ここからは藪の中の掻き分けての登攀。イバラのトゲトゲが襲ってくるヤブを超えて、草付きの中のホールドを探しながら登る。
このピッチは8ピッチ目の後なのでやさしく感じる。最後は10ピッチ目の真下まで歩いていって終了。終了点はなく木でビレイするよう。
10ピッチ目 5.11b 30m 5.10b 35m
いよいよサンダーボルトも最終ピッチ。大きなカブリの岩を超えてから(5級のボルダームーブらしい)右から上がれば11bで、左から上がれば10bのピッチ。
師匠は果敢に11bのルートを選択し、みごとOS。自分は1手目のボルダームーブに苦戦し、なんとか3トライ目でハングを超える。ザックの重みでなかなかカラダを引き上げられずにもがいていたが、ラストは気合で大声を張り上げながら腕と足全部を使ってやっとのことで乗っ越す。
そのあとは一旦左上し、11bのルートに戻りスラブを登って終了点まで。最後もキツかった~。
ともあれ、なんとかサンダーボルトを最後まで登りきることが出来ました。
9時30分に登攀を開始して、登攀終了が17時40分。8時間10分のクライミングでした。
千石尾根からの景色。
しかしA0あり、木掴みありとなんでも使って登ってしまい、フリーで登るにはまだまだ実力不足でしたが、終わってみれば貴重な経験ができたと思います。
全ピッチをトップで登り、引っ張ってくれた師匠に感謝です。
実は師匠、登攀終了後に足の痛みが増して登山道を歩くのもままならない状態に。よくそんな状態で2ピッチ目以降200m以上も登られたもんだと驚きです。最後は11bの激しいムーブもこなしていたし…。
早く怪我治りますように。
西大台のエリアは、本当にキレイなところです。ちょっと雨が降ってたりするともっと幻想的な雰囲気なんやろうな…。
次はサンダーボルトのリベンジというより、まずはしっかり外岩の鍛錬をしてサマコレかな。
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付き合ってくれてありがとな。
A0は5ピッチ目だけやったんか。いやもう、上出来!
いえいえ、A0は5ピッチ目だけですが、最終ピッチもグダグダでした…。
まだまだ精進が足りないので、
こちらこそ今後ともお付き合いよろしくお願いします。